ひとり社長の備忘録

小さな会社経営・自由に暮らすひとり社長のブログ

入居者行方不明の場合①

不動産業では、しばしば入居者が行方不明になるケースがあります。

その時に限って、保証人もおらず、連絡先も無いような状況だったりするのです。

入居者行方不明の場合は、往々にして受け取るはずの賃料もストップします。

さて、これからお金にならない仕事の始まりです。

一般的な賃貸借契約の約款では1ヶ月以上の外出、出張等は必ず貸主に連絡することや、1ヶ月以上の賃料滞納は契約解除と厳しい内容を記載してありますが、実際のところ判例等では最低3ヶ月以上の滞納で貸主との信頼関係が毀損したとみなされ、そこから一定間を得て契約解除を宣告し、借主がその内容を確認した時点で正式に契約を解除できることになります。

※3ヶ月も家賃滞納して大家さんとの信頼関係は失われましたから契約解除しますねという感じです。

しかし、行方不明の相手に対し、契約解除通知(送付送達)を送っても本人が受け取るわけもありませんので、送達が完了しません。解除通知に関し、相手方が知り得ない状況です。あくまで相手(借主)が解除通知内容を認知しないといけないというルールです。

その場合、裁判所を通して「未払賃料の支払い催告及び解除の意思表示」を、

1.付郵便送達(ふゆうびんそうたつ)

2.公示送達(こうじそうたつ)のどちらかの方法を用いて行います。

付郵便送達とは、送達相手がわざと郵便を受け取らない場合に用いる方法です。

この方法を使う場合は、事前に送達先に相手方が「確かに居る」ことを証明する必要があります。証明できれば付郵便送達「送った時点で受け取ったことになる」という方法で送達が完了します。※居るのにわざと受け取らないとは不届き者め、送った時点で受け取ったことにしてやるぞという感じです。

公示送達は、裁判所の掲示板に掲示し、2週間経過することで送達されたという効果が発生する方法です。※もう面倒なので、掲示板に貼っておくから自分が勝手に見にきなさいという感じです。

行方不明の場合や、住所不明の相手や、海外にいる相手などに対して用います。

上記の方法でようやく、賃貸借契約が解除され明渡しを命じる判決が結審します。

その後は、明け渡しの強制執行へ移行します。

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