ひとり社長の備忘録

小さな会社経営・自由に暮らすひとり社長のブログ

不動産売却のあれこれ

何ヶ月もの時間をかけて、ようやく売買仲介の決済(引渡し)を迎えようとしております。その案件は、売主様が高齢で施設に入所し、法定代理人が売主の代わりを務める案件でした。※さらに借地権でした(これは次の機会にしましょう)

家庭裁判所から「居住用不動産処分の許可」を得なければ売却ができません。

前もって当該不動産の売却価格を査定し、申し立てを行い、裁判所が売却金額が妥当と判断すれば、その金額で売却を行います。

難しいところが、「その査定額が高くても、低くてもダメ」だというところです。

不動産業界は常に売却物件を探しています。不動産の売却依頼をうける時は、まず依頼者と「媒介契約」を締結します。これは、「売主様が確かに不動産の売却を不動産屋へ依頼しました」という書面です。「勝手に売り始めたな!や、こんな金額で売るとは言っていないぞ!」等と言ってくる人を防止するわけです。

この書面には、当該物件の簡易査定から算出された、おおよその売却価格を記載します。売主は、記載される売却価格が高ければ高いほど、喜び、興奮し、媒介契約を締結します。ここがミソです。

媒介契約書の記載金額は「この価格で売れますよ」ではなく、「この金額で売り始めましょう」価格であり、売れたらラッキー希望価格なのです。

さらに媒介契約には売主を拘束する力もあります。(これも次の機会にしましょう)

話を戻しますが、裁判所の売却許可を得る必要のある案件は、「売却案件を獲得したいが為の高額な査定額を提示してくる不動産会社」に依頼しまうと、相場より明らかに高い金額で裁判所の許可が下りてしまい、その金額で売りに出したところで、まったく問い合わせも無い「売れない状況」を作りだしてしまうことになるのです。

そんな状況に行き詰まり、査定額を大幅に下回った価格で売買契約締結をしようものなら、今度は裁判所から、「何故そんなに安く売る必要があるのか?」と疑われ、監督人が立てられ、今度は監督人の許可も必要になり、複雑困難な状況になってしまいまうのです。ひとり社長はこのような案件をひっそりとやっているのです。

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